安全に火を扱う
輻射熱に注意
着火し安定している炭は、炎が見えません。炎が見えなくても高温である事を忘れないで下さい。グリル付近は輻射熱により温度が上昇しますので、トングやスコップなど金属製のものは離して置きます。特に燃料や着火剤などは、発火や爆発する危険性もありますので、輻射熱の影響が無い場所に保管してください。
軍手は危険。耐熱仕様のグローブを
軍手を使う人を見かけますが、非常に危険です。現在、販売されている軍手のほとんどかポリエステル等の化学繊維で編み上げたものです。255℃を超えると溶け出し、手に付着して火傷の原因となります。火を扱う場合は、絶対に使わないようにしましょう。バーベキューには難燃性、耐熱性に優れた皮手袋や、専用のグリルグローブを使用してください。手首まで覆うタイプをおすすめします。
バケツ一杯の水を置く
バーキューをする際は、バケツ一杯の水をグリルの近くに準備します。着衣着火の際や火傷をした場合にすばやく対処できます。
着る物にも気を付けて
化学繊維の服は、着衣着火の危険
軍手同様、化学繊維の服にも注意が必要です。フリースなどはインナーに着用して、アウターには、綿や皮製のものを着用すると良いでしょう。
夏になると、半袖・短パン・ビーチサンダルというスタイルでバーベキューを行っている人を見かけます。いずれも火の粉に触れたり、炭を足の上に落としたりすると、即火傷となります。
ゲル上の着火剤、燃料などの間違った使い方に注意
主原料のメチルアルコールは、見にくい青白い炎で燃焼します。火熾し途中で火が消えたと勘違いしてチューブから直接グリル内へ追加投入すると、引火し大事故につながります。追加投入禁止です。
同様に、ガソリンやアルコールを注いで火の勢いを強くしようとすることも危険です。
揮発性の高い燃料を掛けても一瞬火力が強くなるだけで炭には着火しません。
地面で火熾し禁止
キャンプ場やバーベキュー上でも「直火禁止」の所がほとんどです。火熾し台やグリルの上で火を熾しましょう。場所によってはコンクリート製のU字溝がグリルの代用品として備え付けてあるとこもあるようですが、コンクリート内の小さな気泡に含まれている水分が熱によって膨張し、コンクリートを割ってしまう事があります。
調理器具は、衛生的に。安全に。
バーベキューでは、大勢の人が集まって調理をすることが多いと思います。家庭のキッチンと違い、使い慣れない調理器具だったり、子供たちが周りで遊んでいたりします。いつも以上に安全に配慮して調理をしてください。
包丁・ナイフの注意点
ナイフは、「良い切れ味・優れた携帯性・安全なケース付き」が理想です。使い勝手の良いものを選びましょう。
家庭で使用している包丁を使う場合は牛乳パック等を利用し、ケースを作って使用してください。
使用後は、アルコール除菌を忘れずに行い、ケースに入れて保管してください。
衛生面での注意点
アウトドアでの調理では衛生面にも気を使いましょう。食材には直接触れずに、トングや箸などを使用します。トングも生もの用、グリル用、サーブ用とに分けて使うと、O-157等の菌の繁殖防止につながります。
また手で調理する際は、使い捨てグローブを使用して下さい。菌の繁殖を抑えるだけでなく、手を清潔に保つことができます。
調理器具は、水で綺麗に洗浄してあっても、使う直前にアルコール除菌してから使用します。
参加者に安心してバーベキューを楽しんでもらうためにも、ぜひ励行してください。
洗ってあっても除菌 | 使い捨てグローブを使いましょう! |
トングや箸を使おう! |
食材の衛生的な温度管理
保存温度
食肉・野菜は、病原菌の繁殖を抑制するために、10℃以下、生鮮魚介類は、5℃以下で保存しましょう。
クーラーボックス活用術
大きすぎるクーラーボックスは持ち運びに不便です。食材を入れるとさらに重くなります。程よい大きさの物を分別して使うと良いでしょう。
また、食材を買いすぎて蓋が閉まらなくなった事はありませんか。それではせっかくの冷気が逃げてしまいます。
クーラーボックスは保冷庫です。常温のものを冷やす冷蔵庫ではありません。
現地に着いたら、飲み物用等の頻繁に開閉するクーラーボックスには冷水を張り、氷を浮かべておくと良いでしょう。
直射日光をさけ、地熱が伝わらないように地面から離して置いて下さい。
クーラーボックス内部の温度は、外気温や使用条件によって変化します。勘に頼らず、温度計を入れての管理が必要です。
あらかじめ冷やした食材を入れる事 | |
氷や保冷剤での温度管理 | |
蓋の密閉 | 氷水に漬ける |
直射日光を避ける | 地面からはなす |
調理温度
卵、魚肉、動物肉、鶏肉、また、これらの素材の組み合わせなど生の食肉を調理する場合は、人体に危険な細菌が死滅するまで十分に過熱する必要があります。必ず食品専用の温度計で食品の内部温度を確かめましょう。
食材別調理温度
天候に注意
バーベキューは、屋外で行うパーティーです。天候の変化には柔軟に対応できるように準備が必要となります。
晴れている場合
日焼け予防、熱中症予防のため、曇りのときでも雨対策にタープを用意しておきましょう。特に夏の天候は油断大敵です。晴れていても、いつ急な夕立が来るとも限りません。
風が強い場合
火の粉が飛んで火災を起こす事も考えられます。タープをたたみ、風を避けられる場所へ移動するか、風除けになるものを用意するなどして安全を確保してください。
時には中止や中断といった早い決断をすることも重要です。
病気や怪我に注意
バーベキューは、火を扱う上での火傷、刃物での切り傷、虫さされ、食中毒、熱中症などに注意が必要です。まずは予防に努めてください。
万一の場合でも対応できるように、応急処置を知っておきましょう。
応急処置の一例
■食中毒の場合
(1) ベルトや衣類を緩めて安静にし、楽な体位にする。吐き気がある場合は、吐いたものが気管につまらないよう、横向きに寝かせます。
(2) 痛みが治まらない時は、医師の診療を受けましょう。
■刃物での切り傷の場合
(1) 清潔な水で傷口をきれいに洗浄しましょう。傷口を直接滅菌ガーゼなどで圧迫します。
(2) 傷口から一番近い関節、ひじやひざなどを心臓より高い位置に保ちます。
(3) 出血が多い場合は至急病院へ行くか、救急車を呼びましょう。
■熱中症の場合
(1) 風通しがよい日陰や冷房の効いた所に運び、衣服をゆるめて安静にします。本人が楽な体位にしますが、顔面が蒼白で脈が弱いときには、足を高くした体位にします。
(2) 意識があり、嘔吐などがなければ、スポーツ飲料を少しずつ飲ませて水分の補給をします。
(3) 皮膚の温度が高いときには、水で冷やしたタオル類で、首や脇の下足の付け根などを冷やして体温を下げると効果的です。皮膚が冷たかったり、震えがあるときには、乾いたタオルなどで皮膚をマッサージします。
(4) このような手当てをしても、症状がおさまらないときは、できるだけ早く医師の診療を受けましょう。
■火傷の場合
(1) まず火傷をした部分を流水で冷やします。衣服を着ている部部に火傷を負った場合は、衣服を着たまま流水で冷やします。
(2) 冷やしたら、焼けた衣類なども取り除きましょう。皮膚に付着してしまっていたら、無理には取り除かないでください。
(3) 水ぶくれができても、破かないでください。
(4) 火傷が深い場合は、形成外科や皮膚科を受診し処置してもらいましょう。